◆◇ 北大路魯山人  消息 幅(表装の件)    ◇◆


「表装の件 東京も京都も…」
  38.0×33.0 (cm)


◆ 内容 ◆

拝啓 弥ゝ御清光大慶比事に存し候
  (はいけい いよいよごせいこう たいけい このことに ぞんじそうろう)
扨て先日ハ態ゝ御光来の處何等
  (さて せんじつは わざわざごこうらいのところ なんら)
御かまいも出来不申失礼申上候 其節
  (おかまいもできもうざず しつれいもうしあげそうろう そのせつ)
御話申上可置候表装の件東京も京都も
  (おはなしもうしあげおくべきそうらう ひょうそうのけん とうきょうもきょうとも)
目下之處人手不足之為めとうてい急速
  (もっかのところ ひとでぶそくのため とうてい きゅうそく)
にハ請合いかぬる由申居其陳辨無理ならぬ
  (には うけあいかぬるよし もうしおり それ ちんべんむりならぬ)
もの有之候 即ハ此際一時見合す他なく
  (もの これありそうろう すなわちは このさい いちじ みあわすほかなく)
今後折を見計らひ十分の事可致が
  (こんごおりをみはからい じゅうぶんのこと いたすべきが)
尤と存し候一應問題を申述て決心仕り候
  (もっともとぞんじそうらい いちおうもんだいをもうしのべて けっしんつかまつりそうろう)
就てハ現在之儘の装■にしておき候て(■はサンズイに黄の旧漢字)
  (ついては げんざいのままの そうこうにしておきそうらいて)
箱のみ尊像之所を巻かぬ工夫を致し
  (はこのみ そんぞうのところを まかぬくふうをいたし)
保存上之完備をこらす方法肝要と被存
  (ほぞんじょうのかんびをこらすほうほう かんようとぞんじられ)
貴下に於て御異存無くば一旦御約束の物につき
  (きかにおいてごいぞんなくば いったんおやくそくのものにつき)
急速箱師に會し貴方へ御渡し申度
  (きゅうそく はこしにかいし あなたへ おわたしもうしたく)
考へ候(箱ハ凡十日間位にて出来得るものとす)
  (かんがえそうろう(はこは おおよそ とおかかんくらいにて できうるものとす))
右得貴意度陳情申上候 匆々
  (みぎ きいをえたく ちんじょうもうしあげそうろう そうそう)

八月三日          北大路魯卿
前川善市郎様


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